居抜き物件の開業を成功させるための鉄則と知っておくべき落とし穴

初めまして!!新大阪 カフェ&ビアテラス カリフォルニアカフェ 代表 直林浩正です。

今回も私の記事をご覧になっていただき本当にありがとうございます。

さて、今回のテーマは、

「居抜き物件の開業」を成功させるための鉄則と知っておくべき落とし穴

を解説します。

飲食店の開業は今や「居抜き物件の開業」が当たり前になっています。

しかし同時に「居抜き物件」で開業したからこそ失敗したと思われる事例も数多くなっています。

そこで今回は、「居抜き物件の問題点」を明確にして、その対策(失敗しない居抜き物件開業)成功法を解説します。

1、居抜き物件とは

1-1、「居抜き物件」が飲食業界に革命を起こした

「居抜き物件」とは飲食店や店舗などで、設備や内装や家具・什器備品などが付いたままで、売買や賃貸借されることを言います。

そして「居抜き物件開業」とは同業種や他業種などが撤退した「居抜き物件」店舗を一部または全部利用して、新規に開業することです。

「居抜き物件開業」する人は既にある設備や内装などを利用することで開業初期費用を圧倒的に低く抑えることが出来ます。

「居抜き物件開業」は飲食店開業のハードルを低くして、その可能性を広げました。

今や、飲食店の開業は「居抜き物件開業」が主流になり、物件の探し方も居抜きを中心とした、新しいやり方に変わってきました。

まさに飲食店業界に革命を起こしました。

1-2、少ない資金で開業する切り札が「居抜き物件開業」だ!

「居抜き物件開業」の最大のメリットは、すでにある設備や内装などをそのまま利用することで、開業の初期費用を圧倒的に低く抑えられることです。

飲食店を開業する時に必要なすべての費用の総額のうち、内外装工事費と厨房機器費の合計が占める割合は60~70%になります。

事務所や物品販売業や駐車場などの物件をすべて壊して1から店舗にする場合や、スケルトンから工事する場合など「居抜き物件」でなかった時には、店舗設計から始まり、電気・給排水工事などがあり、店舗用什器備品まですべて揃えなければいけません。

こうした内外装工事費や厨房機器費が「居抜き物件開業」であれば半額から3分の1に抑えられるのですから、その金銭的メリットは計りしれません。

・「居抜き物件開業」が増えたことで、素人店主がドッと増えた

「昔からの夢で喫茶店をやってみたい」とか「ラーメンが大好きなのでラーメン屋をやってみたい」と漠然と思っていた飲食業素人の方が「居抜き物件開業」で金銭的なハードルが下がったことにより、飲食店経営にチャレンジするようになり、脱サラした年配の方や、20~30歳代の若い方などの素人店主がドッと増えました。

・物件を借りてから短期間で営業開始が出来るのも魅力

「居抜き物件の開業」の2番目のメリットは、すでにある設備や内装をそのまま利用するので工事期間が短く、物件を借りてから早めに営業を開始できることです。

店舗はほとんどの場合、物件を借りてから工事に着工する時点で家賃が発生し、工事中も家賃を払い続けることになります。(カラ家賃と言います)

工事期間が短ければ短いほど、カラ家賃を払う期間も短くなるのです。

限られた予算で頭を悩ませているときに、早く開業出来て売り上げが得られることは、経費の削減・回収になり助かります。

スタッフを事前に確保している場合などは、カラ人件費も発生するので1日でも早く開業できることは、非常に大きなメリットとなります。

もちろん、オーナー自身も早く店に立ちたい、早くお客さんを迎え入れたいと思っているでしょうから、開業までの待ち時間が短いほど精神的にも大きなメリットと言えるでしょう。

少ない費用で開業出来、スケジュール面でも精神面でも楽なのが、「居抜き物件の開業」なのです。

2、居抜き物件の開業の落とし穴、必ず知っておくべき6つのポイント

落とし穴① 居抜き物件は99%前経営者が失敗した物件だ

居抜き物件は、前の経営者が失敗した店と思って間違いありません。

不動産会社や居抜き仲介業者は「店はうまくいってたんですけど、経営者が体を壊して・・・」とか「店は繁盛していたんですが、もっと大きな店をやりたいということで移転した好物件です」とかなんとか理由を付けたがりますが、本当のところは店が流行っていなかったからやめたのです。

なぜそう言えるかというと、流行っていた店は居抜き市場に出てきません。

流行っていた店が辞めるとなれば、その店で働いていたスタッフが引き継がせてくれいうケースも珍しくはありません。

ときにはその店のお客さんだった人が店を引き継ぐ場合もあります。

いずれにしても繁盛していた店は居抜き市場に出ることなく、スタッフやお客さんや知り合いの誰かが続けて店をやるものなのです。

・失敗した理由を明確にすることが重要

居抜き物件で開業するということは、前と同じような業種・業態での開業が多いので、余計に慎重に検討することが重要です。

流行っていた店は居抜き不動産市場には出てこない。

全て前経営者が失敗した物件と考えて、二の舞にならないように準備することです。

落とし穴② 実は居抜き物件はトラブルだらけ

みなさんが日ごろ利用している飲食店の多くが居抜き物件で開業した店舗です。

数が多くなったからなのか、居抜き物件にまつわるトラブルを耳にする機会が増えました。

居抜きに対する情報や知識を十分持っていれば防げる問題が多いのですが、多くの方は初めての飲食店開業で、当然ながら経験などないわけですから、どこをどう気を付ければいいかすらわからない状態だと思うのです。

例えば設備上のトラブル原因として圧倒的に多いのが、厨房の排水に問題がある場合です。

厨房の排水が詰まっていて、流れが悪くなっていることが多いのです。

排水のつまりを根本的に直すとすると、今ある厨房機器をすべてかたずけて、床を掘り返して配水管を引き直す工事をする必要があります。

費用は100万円を超える大きな金額になり、これでは居抜き物件を選んだ意味がありません。

前経営者は排水トラブルを抱えて困って、店を手放したかもしれません。

直すとすると100万円を超える大きな投資となるため、排水のトラブルをきっかけに移転や、ときには廃業する人もいるのです。

結果的に、排水のトラブルを抱えた居抜き物件が出回る可能性が高くなるのです。

居抜き物件には設備上のトラブルを抱えている場合が多いことを念頭に置いておきましょう。

だからこそ、事前に専門業者に同行してもらい、物件の設備のチェックをしてもらう必要があります。

もちろん設備以外でもトラブルはあるわけですから、借りる際には細心の注意が必要です。

落とし穴③ 厨房の場所やスペースを変えなくても大丈夫か、絶対確認!

せっかく居抜き物件を借りたのに、結局工事費用が高くついてしまう一番の原因は「厨房の位置や大きさを変えなければならなくなった場合」です。

飲食店の厨房床下には、基礎のコンクリートの上に水漏れを防ぐために防水層が作られています。

その防水層の上に配水管やガス管などがレイアウトされた後、モルタルを流し込んで厨房の床は出来上がっています。

つまり厨房床下は、工事費の大きなウエイトを占める、給排水工事・ガスの配管工事・電気工事などがなされている場所です。

そこをいじるとなると、大きな費用が掛かります。

「厨房位置を変えないこと」これが居抜き物件で低コスト開業する時の絶対条件です。

さらに言えば、配水位置の変わる厨房機器のレイアウト変更も避けたほうが無難です。

配水管の移動のため床をはつる(部分的に削り取る)と、はつり工事のために使うドリルの振動が防水層を壊してしまう可能性があるからです。

別の場所に厨房を作るとなると、当然のことながら新しい場所に防水区画を作り、給排水工事・給排気工事・ガスの配管工事・空調工事・電気工事などやり直すわけですから、居抜き物件を選んだ意味がありません。

落とし穴④ あなたがやろうとしている業種業態に適した居抜き物件か

居抜き物件の魅力である「低予算で開業できること」を最大限に生かすために、厨房の位置や大きさを変えないこと以外に、もう一つ大きなポイントがあります。

それは、「あなたがやろうとしている飲食店の業種・業態に適した居抜き物件であること」です。

業種・業態が全く違っていると、スケルトン状態から店を作った時と工事費が変わらないどころか高くなる場合さえあります。

例えば前に喫茶店だった居抜き物件で居酒屋をやりたいといった場合を考えてみましょう。

喫茶店ではガス機器を使った、焼く・煮込むといった調理がほとんどありません。

ですから当然、焼く・煮込むといった調理に対応した給排気設備や給排水設備がありません。

下手をすればガスの設備のない場合もあります。

そこであなたが居酒屋をやるとなると、まず調理する時の煙を排出する場所を新たに確保しなければいけません。

都市部の繁華街や住宅地のそばなどでは、屋上までダクトを上げて、煙・におい対策を講じなければならなくなるかもしれません。

・同じ飲食店でも業態・業種で違った設備が必要になる

排水も、喫茶店であれば、簡易排水設備で大丈夫だったかもしれませんが、居酒屋となれば厨房の床にはグリストラップ(油を除去する排水設備)が必要です。

電気メーターやガスメーターを容量の大きいものに変更し、ときには配管もやり直さなければいけません。

あなたのやろうと思っている飲食の業種・業態に適した居抜き物件でなければ、違った設備が必要となり「居抜き物件で工事費を安く上げようと思っていたのに、逆に高くなってしまった」ということにもなりかねないのです。

落とし穴⑤ 居抜き物件の価値を造作の新しさに惑わされてはいけない

居抜き物件には、造作が無料で手に入るものもありますが、多くの場合は内外装の造作や厨房機器を買い取る必要があります。

つまり、造作を譲り受けるための費用「造作譲渡料」がついている居抜き物件です。

「造作譲渡」とは、「内装や給排気設備・厨房設備・備品などの権利を前経営者(権利者)から取得する(買う)」ことを意味しています。

しかし造作譲渡料の金額は大げさに言うと、造作の価値とは関係ありません。

飲食店をやるには店舗物件が必要です。

飲食店は「場所」の商売ですから、特に良い場所をおさえることが重要です。

飲食店で成功するためのポイントは「場所」なのです。

当然、開業者は良い物件を探しています。

しかし、限られたエリアで、物件を探している人は多くいるので、なかなか良い物件は見つかりません。

なかには1年、2年と物件を探し続けている人もいます。

そうなると、居抜き物件についている造作の内容や費用よりも物件そのものを手に入れることが最優先になり、造作は二の次となっている開業希望者もいるのです。

すると借りたい場所に物件があるなら、いらない造作がついていたとしても借りる場合があるのです。

どうしてもその場所を押さえたい、借りたいとなった時、造作譲渡料は「不動産物件の魅力と連動して決まるもの、造作そのものの価値・価格とは関係ない」のです。

落とし穴⑥ 「え?嘘!」譲渡物だと思ってたら、リース契約が残っていた!

居抜き物件を見に行った時、まだ新しい冷蔵庫や製氷機があり、「この厨房機器がついてくるなら、ちょっと高めの造作譲渡料を支払ってもいいな」と思って造作譲渡契約をし、後日、店に行くとその狙っていた厨房機器がなくなっていたという、嘘のような本当の話があります。

ここまでひどくなくても「ちょっと高めの造作譲渡料だったが、食器洗浄機が新しかったので値段交渉せずに契約したら、その食器洗浄機はまだたっぷりリース契約が残っていた」という事例は珍しくありません。

当然リース契約が残っていれば、機械の所有者はリース会社ということになりますから、その機械をあなたが使いたいのならば、リース契約を引き継ぐか買い取るしかありません。

実際、無料(造作譲渡料に含まれる)だと思っていたものでも、自分で買い取ったり、リース料を支払う必要があるケースが出てくるのです。

造作譲渡によって、あなたが必要なモノと必要ないモノを明確にすること。

前経営者が持っていくものと残していくモノを明確にすること。

そして、必要ないモノの処分をどうするかも決めておきましょう。

必要ないモノが造作譲渡品に含まれていたら、あなたが処分するか、前経営者が処分するか決めておきましょう。

造作譲渡リストを作成し、前経営者に確認を取っておくこと。

厨房機器やエアコンのリース契約が残っていないかしっかりと確認を忘れずに

まとめ

居抜き物件が支持されている最大の理由は、開業資金が少なく済むことです。

当然そのメリットを最大限利用して繁盛店にしなければいけません。

せっかく居抜き物件を手に入れても、まっさらな状態=スケルトンから店を作るようなお金のかけ方をしたら、居抜き物件を選んだ意味がありません。

しかし、店に来るお客さんは、その店が居抜きだろうがスケルトンであろうが関係ありません。

自分の希望に合った、魅力的な店に行きたいだけです。

ですから、居抜きでも、スケルトンから作った店に負けない魅力を作り出さなければいけません。

そのため、前店舗をなぜ売りに出してしまったのか、その理由を前経営者や周囲の店の人たちから聞くことが出来れば、繁盛店つくりに活かせます。

前店舗がうまくいかなかったマイナス部分にこそチャンスが隠れている。

弱点のイメージを一変させることが繁盛のポイントになるでしょう。

突き詰めて言えば、前の店の経営がうまくいかなかった要因を明らかにして改善し、その逆のことを重点的にアピールすれば繁盛するということでしょう。


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最後まで読んでいただきありがとうございます。

参考文献 「居抜き開業」の成功法則 土屋光正(同文館出版)

 

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